目の前の優しい人の手をとった。彼がこれから恋人だ。
けしてもう、兄弟にそんな感情を抱くことはない。彼を無駄に傷つけることはない。
一松もカラ松も、心底うれしくて笑った。目の前の恋人も笑ってくれている。幸せだ。きっとここからすべてがうまくいく。
希望に満ち溢れ、二人は目を見かわして笑った。
とりあえず兄弟に、恋人ができたと自慢してやらねばなるまい。きっとカラ松は祝福してくれるだろうと一松はつきりと胸を痛め、一松はあまり関心がないかもしれないなとカラ松はそっと胸を押さえた。
「架羅さん、すげぇ好きだよ」
「オレも壱くんのことが好きだ。愛している」
さようなら兄弟。これまでの恋のすべて。
こんにちは恋人。バラ色の明日よ。
二人は明日からの幸せを欠片も疑っていない。
バラ色の明日?