恋人売ります - 1/3

ネットオークションをのぞいていたゲンは、飛び込んできた単語に目を瞬かせた。
品名、石神千空博士の恋人。出品者は石神千空。
復興後、名を騙られ面倒事が多発したため千空の記名にはすべて公式マークがつく。それはこのネットオークションでも同様で、石神千空の文字の横には燦然と輝く公式マーク。これは石神博士の発言ですよ、間違いありません、という信頼の証。ええとつまり、だから、恋人を売った。いやまだ競り落とされてないんだから売っている最中、ということで。

「千空ちゃん」
「あ゛ぁ?」
「なんか恋人? 売ってるのって」
「オークションか。珍しいじゃねえかテメーがそんなの見るの。なんか欲しいもんでもあんのか?」
「ん~、ちょっとね。もうゲットしたからいいんだけど」

特許だ権利だとなんだかんだ金が転がり込む状況の千空は、その割に本人の欲が薄いため事あるごとにゲンに使おうとする。こちらもそれなりに稼いでいるから不要だといくら伝えても、腐るもんでもないから貯めとけと聞きもしない。それこそ千空も貯めておいていざという時の資金にすればいいと思うのに、唆る実験のためにはまるで足りないとのことで、いったい何をしているのか知るのが恐ろしいのでゲンはノータッチを心掛けている。
今回も、買ってやると言われる前にすでに手に入れたと伝えれば、つまらなさそうに唇を尖らせた。
拗ねた顔はかわいいけれど、今はごまかされるわけにはいかない。

「人身売買はバイヤーじゃないですか石神博士~」
「人聞き悪ぃな。……いや、これ書き方がまずくねえか?」
「センセーショナルなものに人間惹かれちゃうからねぇ。ってことは、これなんか誤解系?」

SNSの更新や芸能関連のコメントなど、千空はひょいと他人に任せてしまうことがある。公式マークがついてるのに、とひるめば本人が公認してんだから問題ないと笑うから、ゲンも千空のSNSを更新したことがある。おそらくこれも、誰かに依頼したものがねじれて伝わったのだろう。
当たり前だ。そうに決まってる。だって千空の恋人は。

「恋人の立場、って書かねえとヤバいやつじゃねえか」

なぁ、と同意を求める千空に返す言葉を、ゲンは三回瞬きする間探した。
いっかい、にかい、さんかい。

「……恋人、いきなり全世界から募集しなくてもいいんじゃないの? ワールドワイドだねぇ」
「これまででそうなってねえからな、ちっとばかり規模でかくしてみた」
「え~、ちょっとのレベルがばがばじゃん。人類復興の立役者で、顔良し頭良しお金持ちの石神博士がモテないわけないじゃん、大騒ぎになっちゃうよ?」
「騒ぎになるほどモテやしねえよ。だから今こうなってるわけだろ」
「オークションにかけちゃうくらいって? いやそこまで危機感抱かなくてもいいでしょ、まだ」

出会いなら正直いくらでもあるのだ、千空は。
なんせ断るのを手伝ってくれと頼まれ対応したのはゲンなのだから。しかも複数回。

「そもそも恋人の立場ってなに……オークション側よくオッケーしたね」
「あくまでも名目で人身売買でもなんでもない、って説明したわ。おかげで時間かかっちまった」
「……じゃあこの商品? 千空ちゃんの恋人の立場、を買っちゃえば会ったことない相手でも誰でも恋人でーすって名乗れちゃうわけ」

見たことも聞いたこともない人間が。千空のことをまるで知らず、彼がなにをしどう考えいつ笑うのかも知らない相手が。
いや、見知らぬ相手ならまだしも、一方的に知ったつもりの人間が購入する方がよりまずいのではないか。

「ストーカーとかありえるじゃん、取り下げなよ」
「あ゛? テメーじゃあるまいし俺にそんなもん居るかよ。それに、まあシャレで出せる金額にはしてねえんだわ」

ちょんちょんと指で示されたディスプレイには、軽く一軒家が買える程度の金額が表示されている。

「どっちかっつーとこっちが本命。おら、ここ読んでみろ」

出品者への継続的な資金援助も募集中。興味のある方は要連絡。
商品説明欄にさらりと記されている文字を指す千空は、得意げに胸を張った。話題性は大事だろ、じゃない。いやこれお金じゃん! いっそあからさますぎるくらいお金欲しいですオンリー主張じゃん!! 普通にスポンサー募集しなよ!

「大騒ぎになっても知らないよ~。コハクちゃんあたりに絶対怒られるんだから」
「そうなったら庇ってくれよメンタリスト」
「残念ですが当方の業務に含まれませんのでお断りいたします。こっちにまで飛び火させないでよ」
「へーへー」

軽口をたたきあって席を立つ。
ラボの皆に迷惑をかけないようにしなよ、とゲンがお小言を口にするのも。テメーこそマネージャーがこっちに泣きつくようなことすんじゃねえぞと返されるのも。
いつものこと。いつも通り。千空が詰めている研究室にしょっちゅう顔を出すのは当たり前で、ゲンになにかあればマネージャーは千空に頼るのも当然で。それは二人に、お互い以上に親しい相手がいないから。なにかあれば、の連絡先をお互いのものにしたのはもう数年前のことだ。
研究員たちに挨拶をし、タクシーを拾い、自宅の玄関を入って。ドアを閉めて。
鍵も、閉めて。

「あれ?」

靴が脱げない。足が上がらない。腕も動かない。
ぐるりと視界が回って視界が暗くなる。壁に手を突くこともできず、ゲンはゆっくりしゃがみこんだ。

「あれ、おかしいな」

きつく目を閉じ開く。視界は揺れてもチカチカ瞬いてもいない。
ただ少し、薄暗かった。疲れ目だろうか。

「……俺、恋人じゃなかった……?」

浅霧幻は石神千空の恋人、のつもりだった。ついさっきまで。
売られたけれど。
違う。恋人の立場は空いていて、そこはゲンの場所ではなかった。ずっと、自分の場所だと信じていたのに。

「あっれぇ??」

あまりの驚きに上げた声は、予想より少し湿っていた。驚いているだけなのにおかしなことだ。

 

◆◆◆

 

千空と初めて身体の関係をもったのは、復興前のことだ。
それまでもなんとなく、そうかな? と思うことはあったのだ。二人きりになればどちらともなく距離を詰め、触れ合った手の甲をそのまますべらせ掌を合わせ。少しずつ少しずつ、じわじわと近づいた。もしかして同じ思いを持っているのだろうか。手を伸ばして、触れ合って、熱を分け合う関係に。そう願ってくれていると、期待してもいいだろうか。
きっとお互いに臆病だった。石化前は高校生だった千空はおそらく慣れていなかったし、ゲンも相手が相手で戸惑っていた。

嫌がられたらどうしよう。拒まれたら。距離を取る、ことは状況的に難しく、だからこそ慎重になった。
だってダメだったら残念じゃあ次の子、とか思えない。他にいくらでも合う子いるって、なんて慰め何度もしてきたけれど無理。恋心を抱く前に、好意も尊敬も愛情も、この世のプラスの感情すべてを抱いてしまったのだ。たかが恋人になれないくらいのことで、千空と気まずくなって関係が変わる方が嫌だった。
おそらく千空も似たようなことを思っていてくれていたんだろう。
ゲンと今のまま居られるなら別の関係性なんていらねえ。いつかの宴会でほろりとこぼしてくれた言葉はきっと本音で。

それなのに、どうにも距離は近いし勝手に肉体は触れ合う。コントロールがきかない。ごまかして見ないふりして言い訳を山ほど用意して、とうとう視線を逸らせなくなった頃に唇をあわせた。
頬をつけた。腕を絡ませ胴体をぺたりとひっつけ生まれながらにひとつの生き物のように伏した。ゲンの懐に鼻を突っ込んだ千空はひらひらした匂いがすると悪態をつき、けれど落ち着くと離れなかった。ひらひらした匂いってなにさ。よく回るゲンの口は千空の悪態に噛みつくことなく、まぜっかえしもしない。顔にかかる千空の髪の毛がくすぐったかったけれど、ゲンは一回も払いのけなかった。
ひとつに束ねて、分けて、またまとめて繰ってふたつに分けて。誰にも配らないカードはマジシャンの手の中いつだってひとつになる。

好きも愛してるも繰り返したし、千空からも返ってきていた。一方通行でも思い込みでもない。先ほどだってラボに缶詰めになっていた千空を訪ね、労わってキスして次のデートの約束を取り付けるつもりだったのに。これまで通り。

「……俺と別れたくてからめ手を使ってきた、はナシ」

もうテメーに恋愛感情がわかねえから別れるか、と千空ならストレートに伝えてくるだろう。己のためでなく、ゲンがもうないもののために努力することを避けるために。恋人でないから無関係、とならないことくらいはわかるのだ。たとえ恋人でなくなっても、千空との関係がなくなるわけじゃないんだから。

「脅迫されたとかで恋人じゃないフリしないといけない、の線も薄い」

あまりに常通りだった姿を思い出す。
嘘をつけないわけじゃないが、ああも完璧に隠し通せるとは思えない。

「他は」

指折り数えるなら十通りは上げていいはずなのに、まだ指を二本しか折ってない。
千空がゲンを恋人ではないとした。否、ゲン以外の誰かを恋人として遇すると宣言する理由が、ちっとも何一つこれっぽっちも思い浮かばないから。

「他、は」

そもそも最初から恋人だと思っていなかった、なんてことは。

「いやいや、さすがにそれは」

そりゃ皆の前で交際宣言とか恋人なんだとふれまわったりはしていない。けれど実際のところ、そんなことする方が少数派だろう。つきあってるのか聞かれたら答えても、自分からわざわざ言ったりはしない。応援してもらっていた友人にならまだしも。
好きだと言いあって、キスしてお互いに触れて休みの日には共に過ごしてするのは、完全に恋人以外の何者でもない。千空が恋人だと思っていなかったなら、ではなにをすれば恋人なのかいっそ問い詰めたいくらいだ。

「……ないでしょ」

ふと思いついてしまった事実を、ゲンは即座に否定した。
だが、これくらいしか。これ以外で思いつくことがないのだ。

「いやでも、それは千空ちゃんでもないって。さすがに」

挿入していないから、なんてことは。

ゲンと千空は体の関係を持っていたけれど、それは挿入を伴っていない。復興前は衛生面で問題があるとお互い認識していたし、復興後は双方共に未経験のため無理をせずともいいだろうと思っていたからだ。
だって尻に異物を入れるとか、どちらの立場でもゲンは正直したくない。あそこはあくまで出口であって入口ではない。がんばれば入るらしいけれど、洗浄だのほぐすだのしてわざわざがんばる必要性を見出せない。お互い愛撫しあって射精して抱きしめあうことで十分愛を感じている。
千空も同じ意見だ。いや、だった、なのか。もしかして彼は、挿入まで含めての行為をセックスと規定し、それをしていないからゲンとは恋人でないと考えているとか。
そういえば以前、尻の穴に指を突っ込まれそうになったから思いっきり蹴り飛ばしたことがある。いきなりで驚いたのと指が冷たかったのでつい体が動いただけなのだが、あの後しばらくしなびた白菜と化していた。まさかそれで? 復興前は仕方ないけれど、復興後は当然挿入ありだろうって?? 待ってその場合まず話し合いからでしょ、どっちがどっちをするかの。

いやまさかそんな。さすがにそれはない。ないったらないって。ねえ。
これまでの長い付き合い、恋人だと信じていたのはゲンだけで千空はそんなつもりなかったなんて。たかが挿入をしていないからなんてくだらないことで、二人の関係がずれていただなんて。

「ないに決まってるって」

思い込みと伝え損ねがドラマを生むのだ。つまり平穏を愛する者として、すぐさま確かめればいい。俺たち恋人だよねと千空にはっきり聞けばいいのだ。今はもう、携帯電話だってあるんだから。

『どうした、忘れもんでもあったか』

勢い込んでかけた電話越しの千空の声は、別れ話をした後のような動揺は一切ない。
あまりにいつも通りなので、先ほどまでのことは夢ではないかとほんの少しゲンは期待した。

「うん、あのさぁ千空ちゃん、ちょーっと質問なんだけど。実は今度出る番組でさ、なんかざっくり紹介パネルみたいなのされるらしくって。俺の。まだ詳しくは決まってないんだけど」

挿入しないとセックスじゃないとか、さすがにないでしょ。
男同士はしない方が多いって聞いたし。だいたいその場合女の子同士はどうなんだって話じゃん。男根主義すぎるっていうか。今時ないって。
だよね? ねえ千空ちゃん。

「千空ちゃんと俺との関係、どう紹介してもらおっか?」

人間なんでもわかりあえるなんてないのだ。どれほどツーカーの仲に見えていても実際はどちらか、または双方の努力の結果。つまり言語によるコミュニケーションはとっても大切、ゆめゆめ疎かにするなかれ。
だからきっとこれも、ちょっとした行き違いとか誤解とか、蓋を開けたら笑い話ってやつで。

「恋人、って言っちゃおっかな~」

言いふらしはしてないけれど隠してもいないでしょ。
そうだなって。いい機会だもんな、とか。まあテメーがいいならいいけどな、芸能人様。なんでもいい。なんでもいいから言って。

『んだそりゃ』
「あ、千空ちゃん照れちゃう~!??」
『照れるもなにも、そういうのは冗談にするもんじゃねえだろ』

誠実な。人との関係を大切にする、ゲンの好きな、千空のまっすぐな声。

『腐れ縁でもなんでもいいが恋人は違うだろ、それらしいもん適当に言っとけ』

すぱんと包丁でたたき切られた。誠実は千空の持つ性質の中でも特にゲンが愛している一つだけれど、それがいつでも自分に優しいというわけではないと、今更。
千空は優しいけれど、ごまかしも妥協もしない。そんなこと知っていたし、そこが大好きで。好きで。好き、なのに。

「……それらしいの、って……ないでしょ」
『あ゛ぁ゛!?』
「メンゴ、ちょっと独り言。ねえ千空ちゃんはさ、もしセックスしたらその相手と恋人になる方? その時つきあってる人がいない場合ね」
『そりゃまあ、セックスするくらい好きなんだからなりてえよ』
「っ、情熱的~! そうだよね、千空ちゃん科学もそうだし好きなことにはガンガン行っちゃうもんね。3700年考えてるくらいだし、ってそうだ大樹ちゃんもだ。うっわ似た者同士じゃん」

電話でよかった。声だけならなんとかなる。

『おい、用件終わったのかよ』
「あはは、忙しいとこメンゴ~。終わり終わり」

全部終わり。
好きだと告げれば、好きだと返された。
抱きしめて抱きしめられて、幾度も共に朝を迎えて。
ゲンにとって千空は特別に大切で愛している恋人だったけれど、千空にとってはそうではなかった。好意も行動も、恋人だからしたわけではない。
わからなくもない、から笑ってしまう。

「そういやオークション、誰か入札してくれた?」
『うんともすんとも言わねえわ』
「絶対いたずらだと思われてるんだよ。本当に千空ちゃんが恋人求めてるって知ったらすごいことになるって」
『スポンサーでいいんだがな、こっちは』
「欲張るからじゃん」

ゲンもそうだ。
恋心を千空に抱かなくとも、恋人でなくとも、特別で大切で愛している。ずっと力を貸したい、一緒にいたい、他人に対して抱くプラスの感情はすべて千空に向けられている。

「じゃあいい感じにしてもらっとくね。千空ちゃんあんまり徹夜ばっかりしちゃダメだよ」
『適当なとこでメンタリスト様がストップかけてくれるから問題ねえ』
「残念ながらこれからちょっと忙しいんだよね、俺。おかげさまで人気者なんで。だからそっちも自分で健康管理がんばってね」

わかる。同じだ。嫌われているわけじゃない。好かれている。ただ関係性が、ゲンの想定と違っていただけ。
それだけ、なのに。

「バイバイ千空ちゃん」

どうしてこんなに涙が出るんだろう。
電話でよかった。目の前に千空がいなくて。声だけならどうとでもなる。

理由はないのだ。
千空には、ゲンに泣かれる心当たりなんてまるで。

だって腐れ縁。恋人じゃない。だからいきなり泣いたらおかしい。ドイヒー作業もとんでもない交渉も敵方への潜入も、ゲンはなにもしていないんだから。だから、ちゃんといつも通りできた。楽しそうに笑ってなんでもない会話をしきちんと電話を切った。
次の約束はし損ねてしまったけれど。

「…………ちょっと、お互いの認識がずれてたなぁ」

ゲンがずっと座っていたと思い込んでいた千空の恋人という立ち位置は、実は空いていたらしい。
愛しあう恋人同士でセックスをしているつもりだったけれど、あれはセックスではなかったらしい。
だってセックスするくらい好きなら恋人になるって。なりたいって。なのにゲンとは恋人でないなら、セックスしていなかったのだ、二人は。
千空が思うセックスをすれば、恋人になる。
オークションにかけられた、恋人の立場。誰でもいい、金を積めば座れる、セックスするくらい好きな相手となりたいと千空が言った、その場所。
ゲンのものではなかった。

「……競り落とすしかないよね」

その後どうするかは手に入れてから考えればいい。
オークションにかけたからには、落札者が誰であっても千空は構わないはずだ。顔見知りだからと渋るなら、その時は科学王国メンバーも巻き込んで大騒ぎしてやる。約束は守るべきだぞ千空! なんて大樹に大声で諭されればいい。親友の愚直なまでのまっすぐさを千空が好んでいるのを知っているからこそ、思い切り巻き込んでやる。
するべきことを決めれば気持ちも少々は持ち直す。
復興の立役者、世界の石神博士を全力でからかえるなんてこんな贅沢なことない。別にゲンは悪事を働くわけではない、オークションに出品されていたものを競り落とすだけだ。落札後、出品者がどんな表情するか、実際手に入れた品物をどう扱うかはゲンの胸先一つだけれど。

「さって、まずは軍資金が必要だよね~」

未だ冗談だと思われているのか、金額はさほど伸びていない。
このまま世間に認知されず競り落とすのは、エンターティナーとして望ましくない。せっかくだから楽しいお祭り騒ぎにしたい、とわめく胸の内をゲンはそっと抑え込んだ。
まずは千空だ。彼が目を離せないくらい夢中になるショーを見事演じてみせて、その後。
きれいに幕を引いてから楽しい計画は立て直そう。まずは内容だ。皆を巻き込んでお祭り騒ぎにするか、たった一人のためのクローズドなショーか。最も千空に刺さるのはどれだろう。ゲンを見ずにいられないのは。どちらでもきっと楽しいから、幕を引いた後に自分が笑顔でいられるものにしよう。
そうしたらきっと、彩度が落ちてしまった世界もまた輝きだすだろうから。